開業の志

自分自身の医療を実現するためには、勤務医では限界がある。
開業は転職と同じ。自分に対する新たな挑戦challengeである。

私が医師を職業とするのは、己のためにする仕事が人の為になるからであり、結果的に報酬が得られている。
報酬が目的ではなく、人に感謝されるから仕事をしている。

・・・・扶氏医戒之略(緒方洪庵)・・・・
医の世に生活するは人の為のみ、おのれがためにあらずということを其業の本旨とす。安逸を思はず、名利を顧みず、唯おのれをすてて人を救はんことを希ふべし。人の生命を保全し、人の疾病を復治し、人の患苦を寛解するの外他事あるものにあらず。

・・・・・道楽と職業(夏目漱石)・・・・・
私が文学を職業とするのは、人のためにするすなわち己を捨てて世間の御機嫌を取り得た結果として職業としていると見るよりは、己のためにする結果すなわち自然なる芸術的心術の発現の結果が偶然人のためになって、人の気に入っただけの報酬が物質的に自分に反響して来たのだと見るのが本当だろうと思います。もしこれが天から人のためばかりの職業であって、根本的に己を枉て始て存在し得る場合には、私は断然文学を止めなければならないかも知れぬ。

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