ダモクレスの剣:核心に迫る治療は綱渡り
現時点ではmRNAワクチンは体内のどこに分布されるか?その働きがいつまで続くのかなど、作用を制御できない問題点があります。また、mRNAが遺伝子の中に組み込まれる問題(逆転写)やmRNAの鋳型となったプラスミドDNAが微量とはいえ薬剤に残り遺伝子がヒトDNAに組み込まれる可能性が懸念されています。ガン治療に対するmRNAワクチン治療は以前から研究されていましたが、副作用が強く臨床応用は出来ませんでした。mRNAの激しい炎症を抑えるカタリン・カリコの研究がmRNAワクチン利用の扉を開けることになりました。しかし、原子力の利用と同様、遺伝子治療も諸刃の剣です。賢明な利用をしないと人類の破滅に繋がります。「mRNAワクチンの母」であるカタリン・カリコに「原爆の父」と言われたロバート・オッペンハイマーのような栄光と悲劇が訪れないことを祈りたいと思います。
「ダモクレスの剣」
栄華の中にも危険が迫っていること。 シラクサの王ディオニシオスの廷臣ダモクレスが王位の幸福をほめそやしたところ、王が彼を天井から髪の毛1本で剣をつるした王座に座らせて、王者の身辺には常に危険があることを悟らせたという故事による。アメリカの J.F.ケネディ大統領が 1961年9月 25日に国連総会で行なった演説のなかでこの言葉を使い,偶発核戦争などの危険について述べた。