新型コロナウイルス・オミクロン株のXBB.1.5系統に対する 治療薬とワクチンの効果を検証:東京大学医科学研究所

新型コロナウイルス・オミクロン株のXBB.1.5系統に対する 治療薬とワクチンの効果を検証

mRNAワクチン被接種者から採取された血漿のXBB.1.5株に対する中和活性を調べました。その結果、mRNAワクチン4回目の被接種者血漿(4回目接種から1-2ヶ月経過)の、XBB.1.5系統に対する中和活性は、従来株、BA.2系統に対する活性より著しく低く、多くの検体で中和活性が検出限界以下でした(図A)。

一方、5回目にBA.4/5株対応2価mRNAワクチンを接種した人の血漿(5回目接種から3週間-2ヶ月経過)並びにmRNAワクチンを3回目接種後にBA.2系統に感染した患者(BA.2系統ブレイクスルー感染者(注5))の血漿の、XBB.1.5系統に対する中和活性も、従来株、あるいはBA.2系統に対する活性よりも顕著に低いことがわかりました。しかし、ほとんどの血漿は低いながらもXBB.1.5系統に対する中和活性を有していることが判明し、BA.4/5株対応2価mRNAワクチン接種の有効性が明らかになりました(図B&C)。

雑誌名:「Lancet Infectious Diseases」(2月8日オンライン版)
論文タイトル:Antiviral and bivalent vaccine efficacy against an omicron XBB.1.5 isolate
著者: 
Ryuta Uraki*, Mutsumi Ito*, Maki Kiso*, Seiya Yamayoshi, Kiyoko Iwatsuki-Horimoto, Yuri Furusawa, Yuko Sakai-Tagawa, Masaki Imai, Michiko Koga, Shinya Yamamoto, Eisuke Adachi, Makoto Saito, Takeya Tsutsumi, Amato Otani, Tetsuhiro Kikuchi, Hiroshi Yotsuyanagi, Peter J. Halfmann, Andrew Pekosz, Yoshihiro Kawaoka¶
URL:https://doi.org/10.1016/S1473-3099(23)00070-1