真夏の夜の夢
2021年7月23日、コロナ禍の中、東京五輪が開幕しました。わが国は過去最多58個のメダルを獲得しアスリートの活躍で盛り上がりました。しかし、懸念されていた新型コロナ感染者数も記録ラッシュでした。全国の新規感染者数は、7月1日には1,741人でしたが、開幕日7月23日に4,204人、閉幕日8月8日には14,459人まで増加しました。五輪期間中に新規感染者は約3.4倍に増え、合計17万人を越え、累計感染者はついに100万人の大台に達しました。感染力の強い新型コロナ“デルタ変異株”が急速に拡がり感染者が急増したと分析されています。一方、外界と切り離された五輪の「バブル」内は感染が抑制されました。選手村や競技会場で施行された70万2230件の検査では陽性者は190人、陽性率0.03%と発表され、東京都の陽性者4,066人、陽性率21.7%(8月8日時点)とは対照的でした。皮肉にも「バブル」の中が安全な世界となり、選手にとってはコロナから守られた「安心・安全な大会」となりました。しかし、無観客試合を見ていて現実感がないパラレルワールドの出来事のように感じたのは私だけだったでしょうか?束の間の夢の宴は終わり、コロナ禍の現実に戻りました。東京五輪のレガシーは1兆円の赤字とコロナ感染爆発となるという二重の悪夢となりました。
8月8日、組織委会長に贈られるオリンピック・オーダー(五輪功労章)の金章を、IOCバッハ会長は例外的に首相と都知事にも授与しました。「命よりも経済優先」の金賞はイミテーションゴールドとして更に輝きを増したようです。