天災は忘れなくてもやってくる
災害と共に幕開けた今年、元日には能登地方を震源とするM7.6、最大震度7の地震が発生しました。最大の被害を被った石川県珠洲市には1975年に原発建設が計画されましたが、住民の反対で計画は中止となりました。また、石川県羽咋(はくい)郡志賀町にある志賀原発は幸いにも稼働していませんでした。もし、珠洲原発が建設され、志賀原発が稼働していれば、東日本大震災による福島原発事故のような悪夢が再現されるところでした。8月8日には、日向灘を震源とするM7.1の地震が発生しました。南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震が発生する可能性が高まったとして「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。地震調査研究推進本部は、南海トラフでM8~9クラスの地震が今後30年以内に発生する確率を70~80%と予想しています。日本列島は地震活動期となり、天気予報に加え、地震予知情報を知り、日々行動することが必要となってきたようです。
さらに、8月29日には、伊勢湾台風に匹敵する、歴代最強クラスとなった台風10号が鹿児島県に上陸しました。自転車並みの速度のノロノロ台風となり、西日本に居座り、豪雨災害をもたらしました。また、新幹線が計画運休され、人流、物流が停滞し経済が混乱しました。かつては「百年に一度」と言われたような災害が、毎年のように頻発しています。地球温暖化による気候変動で、日本が亜熱帯化し、猛暑、ゲリラ豪雨、大型台風が常態化しています。能登半島地震や台風10号は、自然の脅威の大きさを改めて認識させ、防災の重要性を再確認させる出来事となりました。
関東大震災の後、寺田寅彦は「天災は忘れたころにやってくる」と警鐘を鳴らしましたが、近年では忘れる間もなく災害が発生しています。日常茶飯事のように発生する災害は、自然に対する人類の傲慢さへの報復のように感じられます。母なる地球は、いつまでも人類の味方とは限らないのです。