ケンタウロス

皆さんはアルファ・ケンタウリをご存知でしょうか。中学の理科で「太陽から一番近い恒星は何か」という問題があります。その答えがケンタウルス座アルファ星つまりアルファ・ケンタウリです。太陽からアルファ・ケンタウリまでは4.3光年の距離であり、人類が最初に到達する恒星になるのではないかと言われています。ケンタウルス座はギリシア神話の半人半馬の種族であるケンタウロス由来の星座です。今年、「ケンタウロス」と呼ばれる新型コロナウイルス・オミクロン株の新たな変異株が登場し、久しぶりにその名前を思い出すことになりました(ケンタウロスはギリシア語、ケンタウルスはラテン語)。

オミクロン株の亜系統「BA.2.75」であるケンタウロスは、スパイク遺伝子が36個変異し、強い感染力と免疫逃避力を併せ持っています。従来のワクチンでは感染予防効果は3分の1しかないと言われています。新型コロナウイルスは変異が早く、昨年はデルタ株、今年はオミクロン株が感染爆発の中心となっています。コロナウイルスの世界でも生存競争が激しく、以前の株より感染力が強く早く拡がるものが生き残って行きます。昨年あれほど流行したデルタ株も駆逐され消え去っています。

ギリシア神話では半人半馬のケンタウロス族は野蛮で粗暴とされています。しかし、ケンタウロス族のなかでケイロンだけは賢く知性に溢れ、医学や音楽に精通していました。英雄ヘラクレス、勇士アキレス、医神アスクレピオスの先生でした。2024年には4年前にアルファ・ケンタウリから放たれた光が地球に達します。その時までに人類はCOVID-19を克服しているのでしょうか。ケンタウロス族の賢者ケイロンのような、人類と平和共存できる新型コロナウイルスの変異を星に願う日々です。